再生医療図鑑

2025年11月
  • 美容から難病まで広がる再生医療の応用

    生活

    再生医療と聞くと、重い病気や大きなけがの治療をイメージするかもしれませんが、その応用範囲は私たちが考える以上に広く、すでに身近なところでも活用され始めています。特に進展が著しいのが、美容医療や歯科、整形外科といった分野です。例えば、美容皮膚科では、自分自身の血液から血小板を多く含んだ成分(PRP)を抽出し、それを肌に注入することで、シワやたるみの改善、肌の若返りを促す治療が行われています。これは、血小板が持つ組織の修復能力を利用した、再生医療の一つの形です。歯科の領域では、歯周病で失われた顎の骨や歯ぐきを再生させる「歯周組織再生療法」が保険適用で行われています。また、事故や病気で骨の一部を失った場合に、自分の骨髄から採取した幹細胞を使って骨を再生させる治療も、先進医療として実施されています。そしてもちろん、再生医療が最も大きな期待を寄せられているのは、これまで有効な治療法がなかった難病の領域です。iPS細胞を用いた加齢黄斑変性やパーキンソン病の治療研究は世界をリードしており、脊髄損傷によって麻痺してしまった神経を再生させる試みも始まっています。さらに、他人の細胞(他家細胞)を利用した再生医療製品も登場しています。他家細胞は、あらかじめ健康なドナーから細胞を採取して大量に培養し、製品としてストックしておくことができるため、必要な時にすぐ患者さんへ届けることができる「オフ・ザ・シェルフ」が可能になるという利点があります。このように、再生医療は基礎研究の段階から、少しずつ臨床応用の段階へと着実に歩みを進めています。私たちの健康と生活の質を向上させるため、様々な領域でその可能性が追求されているのです。